神奈川から東松島へ元気を届けて-「震災支援の会(サポートチームG)」市原信行さん


「震災支援の会(サポートチームG)」代表市原信行さん

「震災支援の会(サポートチームG)」代表市原信行さん


 神奈川県大和市で東日本大震災の被災地支援を続ける「震災支援の会(7月15日から「サポートチームG」に団体名変更予定)」は17日、宮城県東松島市で復興バザーを開催する。
 震災発生直後からこれまで、衣服をはじめとする生活用品、リサイクル自転車の現地搬送など途切れることなく被災地支援を行ってきた同団体は、復興支援を継続するための資金調達と被災地の自立サポートを目的にしたこのバザーのサポーターを募っている。

 17日、東松島市「あったかいホール」で行う今回の復興バザーは、神奈川県内外から寄付された衣服、電化製品、自転車などを現地の人に「配布」ではなく格安で「販売」する。
 善意で寄付された物品を「販売」することに対し、当初は「気が進まなかった」と同団体代表の市原信行さん(51)=川崎市川崎区在住=は話す。
 最終的にバザー開催を決めたのは「震災支援の会(サポートチームG)」の継続的な活動資金捻出と「支援には終わりがある」ということを現地に理解してもらい、今後の自立のサポートになればと思ったからだという。
 寄付者に対しては、同団体のウェブサイト上で、月ごとの会計報告を行い、収支の透明性を確保する方針だ。
 バザーは、東松島の現地ボランティアと神奈川や近県からのボランティアとで運営する。ボランティアの問い合わせや支援物資の送付先は「震災支援の会(サポートチームG)」HPまで。

 代表の市原さんは川崎市在住だが、大和市内で土木系の会社を経営している。これまで地元消防団や町内会、マンションの管理組合役員など、コミュニティー活動には深く関わってきた。東日本大震災発生の3月11日当日もマンション中の各部屋に声がけして回ったという。
 同時に市原さんにとって、被災地である東北地方一帯は、かつて趣味のウィンタースポーツで幾度となく訪れていた地域。「防寒着が必要に違いない」と、地震発生直後の3月15日から4~5人の仲間とともに、冬物衣料をはじめとして、食料・飲料水などを集めた。
 ワンボックスカーいっぱいに支援物資が集まった3月20日、つても何もないまま被災地に出発した。

 岩手県一戸町から大船渡市、宮城県石巻市へと南下しながら途中途中ので声かけをしながら、支援物資を手渡ししていった。5~6カ所の避難所を回っただけで支援物資はあっという間になくなった。
 市原さんは、3月中に3回、被災地を訪れた。しかしその後は「多過ぎて、何回行ったかもう覚えていないんですよね」と話す。これまで現地に足を運んだ回数は30回以上。現在でも、月の半分以上は拠点である東松島に足を運んでいる。

 「震災支援の会(サポートチームG)」の現在の拠点は、石巻市から車で約10分の東松島市。市原さんは、何度も同県内に足を運んでいたため、今回の津波被害が甚大で広範囲に及び、一団体ではカバーできる状態ではないことは肌で感じていた。
 その中で東松島市を対象に定めたのは、ゴールデンウィーク明けになっても通行止めが続いているなど、行政の支援が他地域より行き届いていなかったため。「公的支援が遅れている東松島市を、私たちのような小回りがきく民間団体がサポートをすることが必要」と感じ、5月中旬から同市を中心に支援を続けてきた。

 市原さんたちの主な活動は、東松島市の野蒜(のびる)・小野・松戸島地域の「避難所以外で暮らす住民」たちのフォローだ。小さい団体だからこそできるきめ細かい活動で、今では地域のリーダーや住民とはすっかり顔見知りになった。
 住民が必要とするものは日々変化していく。地域との密な交流があるからこそくみ取れるニーズ。市原さんたちは常に、住民が必要なものをタイムリーに届けてきた。それは神奈川県外から送られる支援物資、行政との協力で成り立ってきたものだと、市原さんはいう。

震災支援の会(サポートチ-ムG)ブログより

震災支援の会(サポートチ-ムG)ブログより


 
 「震災支援の会(サポートチームG)」は「あなたにもできる」というコンセプトを掲げる。
 同会の今後の活動日程は、7月15日に相模原市でリサイクル自転車の積み込み、17日に東松島市での復興バザー、などとなっている。
 これからボランティアに関わりたいという人に向けて「とにかく神奈川の元気を被災地に届けて欲しい。それは支援物資でも活動資金の協力でも、観光で現地に行くのでもかまわない。復興には被災地住民の力と被災地外からの力を合わせることが欠かせない。復興への道のりは長い。関わる人たちには現地で見たこと、感じたことを発信してほしい」と市原さんは力強く語る。

 震災から4カ月を経て、同団体では被災地外のボランティアが行っていた活動を、徐々に現地のボランティアが担える体制へと移行している。
 東松島市の同会拠点に、現地のボランティアが常駐することも決まった。「われわれはあくまで黒子。被災地の外からの支援には終わりがある。被災地の人たち自身が描くアイディアや企画をこれからサポートしていきたい」と期待を寄せる。
 これからも東松島と共に歩いていくという市原さん。今後の復興の課題である「住民の仕事づくり」も視野に入れているといい、漁業組合から仕入れた海産物を神奈川で販売することなどを検討している。
 
 「震災支援の会(サポートチームG)」では、ボランティアと支援物資を随時募集している。
 今後の予定などの詳細は「震災支援の会(サポートチームG)」ブログを参照のこと。

▽参考サイト
震災支援の会HP(「震災支援の会(サポートチームG)」HP)
http://sinsaisien.web.fc2.com/
あなたにもできる「震災支援の会」(「震災支援の会(サポートチームG)」ブログ)
http://sinsaisien.blog.fc2.com/

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