1人が変わるとまちが変わる 自然エネルギーを楽しく自給するワークショップ開催 藤野電力(相模原市緑区=旧藤野町)・小田嶋電哲さん


藤野電力の小田嶋電哲さん=相模原市緑区(旧藤野町)・牧郷ラボで

藤野電力の小田嶋電哲さん=相模原市緑区(旧藤野町)・牧郷ラボで

2011年3月に起きた東日本大震災と福島第一原子力発電所の原発事故は、それまで多くの人にとって「電力会社から送られてくるのが当たり前」で無関心だったエネルギーについて、再考を促すきっかけになった。

しかし、太陽光などの自然・再生エネルギーシステムに興味はあるものの、実際にどうすればいいのか分からないというのが本音ではないだろうか。そんな疑問を解くヒントになりそうな取り組みが、県北西端の相模原市緑区(旧藤野町)で進んでいる。

地域イベントで自然エネルギーを活用した電源を供給したり、太陽光発電キットを組み立てるワークショップを開いたりと、「自分たちでエネルギーをつくり、暮らしていく」という等身大の自給自足生活を提案するワーキンググループ・藤野電力。その中心メンバーの一人・小田嶋電哲(おだしま・でんてつ)さん(40)=同区在住=に、活動やこれからの展望について聞いた。

サラリーマン生活を経て藤野町に移住 「トランジション藤野」の活動に参加

小田嶋さんは東京・江戸川区出身。大学の法学部を卒業後、都内のIT関連会社などを転々とした。営業やコンサルタント、派遣の仕事も経験。「藤野に住む前は、エネルギーや電気とは縁もゆかりもない生活でしたね」と振り返る。初めて藤野を訪れたのは2004年8月。前年閉校した旧牧郷小を再生した「牧郷ラボ」でのアートフェスティバル「第1回ひかり祭り」だった。

「偶然チラシを目にして来てみたら、藤野に住む人たちがとても優しかった。面白いな、良い所だなという印象を持ちました」。イベントを楽しむあまりJR藤野駅の終電を逃し、タクシーの営業時間も過ぎて困っていた小田嶋さんを、会場から地元の民宿までマイカーで送ってくれた人がいたという。

豊かな自然や地域住民の人柄にひかれ、その後は週末などに頻繁に訪れるようになった。田舎での暮らしに興味があったこともあり、長女の就学を翌年に控えた2007年、藤野町(当時)に移住した。

イベントに参加するにつれいろいろな人に出会い、つながりができた。自ら踏み出して藤野地域で持続可能なまちづくりを目指す団体「トランジション藤野」の活動に参加するようになったという。「もともと、哲学的に物事を考えるのが好きな性格。『トランジション』の、大きなものに依存せず自分の心に向き合って今の生活を少しずつ変えていく、一人一人が変わることによって、まち全体もゆるやかに変わっていく。そんな思想が気に入りました」。

「トランジション」は「移行する」という意味。藤野では「今ここから、楽しく、やれることからやっていこう」と、地域通貨や森づくり、百姓クラブなどのワーキンググループ(WG)が活動している。小田嶋さんは通勤時間およそ1時間半の都心の会社勤めをする傍ら、週末は興味のおもむくまま、いろいろなWGに顔を出し、藤野での生活を楽しんでいた。そんな矢先の2011年3月、東日本大震災が起こった。

旧牧郷小校舎を再生した「牧郷ラボ」。地元在住アーティストのアトリエやギャラリーとして活用され、藤野電力の活動拠点にもなっている

旧牧郷小校舎を再生した「牧郷ラボ」。地元在住アーティストのアトリエやギャラリーとして活用され、藤野電力の活動拠点にもなっている

3・11を機に生まれた「藤野電力」構想

大地震・大津波にもショックを受けたが、原発事故のニュースは衝撃的だったという小田嶋さん。電力会社の独占的な発電から、地域でエネルギーを創るしくみにシフトする「藤野電力」という言葉は、誰ともなく、トランジション藤野のメーリングリストに事故後すぐ上がった。同年5月には最初の会合を開催。「できるか、できないかにこだわらずやってみよう」と気運が盛り上がった。

初めは、藤野電力の活動にあまり興味を持てなかった小田嶋さん。しかし同年8月に開く「ひかり祭り」の準備を進める中で、「自然エネルギー100%」をテーマに電源担当として運営にかかわることになり、気持ちが吹っ切れた。「自分たちで電気を創って使えば、イベントも後ろめたい気持ちなくできるんだ、と前向きになれました」。会社を退職し、藤野電力の活動に専念することにした。

大学の研究者から譲り受けた約170枚の太陽光発電パネル。「これを活用して、牧郷ラボを100%自家発電施設にしたい」と意気込む=牧郷ラボで

大学の研究者から譲り受けた約170枚の太陽光発電パネル。「これを活用して、牧郷ラボを100%自家発電施設にしたい」と意気込む=牧郷ラボで

エネルギーの自立 地域でつくり、地域で消費

藤野で開かれる地域の最大イベント「藤野ふる里まつり」に10月、藤野電力として出展した。試みに「ミニ太陽光発電システム」の組み立てワークショップを実施したところ「電気のことはよく知らなかったけれど楽しい」と好評を得た。そこで2011年12月から、牧郷ラボで月1回、定期的にワークショップを開催するまでになった。

組み立てキットは太陽光発電パネル・バッテリー(蓄電池)・インバータなどわずか5点。これらを配線で正しくつなげば、電力会社に頼ることなく自分で電気を作り出せるという仕組みだ。価格はワークショップ代込みで4万2800円。1日当たりの発電量はおおむね200~300ワットで、目安としてノートパソコン4~6時間、蛍光灯形電球なら10~12時間使えるという。ワークショップ参加者からは「意外と簡単に、電気はつくり出せるものなのだ」という声が多く上がるという。

いきなりすべてのエネルギーを自分でまかなうのは無理だが、パソコンや携帯電話の充電をするのには十分な太陽光発電システム。今年からは、藤野地域の個人宅に藤野電力のソーラーシステムを設置する取り組みも始めた。

電力会社から送られてくる電気のスイッチの横に、藤野電力のスイッチを取り付ける。「家の中のコンセントのどこかが、ソーラーシステムで発電した電気になる。実際の使い勝手も良いと評判です」と小田嶋さんは胸を張る。

今後は、7つの教室が地元在住のアーティストたちのアトリエやギャラリーとなっている牧郷ラボ(延べ床面積778平方メートル)を、すべて自然エネルギーの独立電源にするのが目標だ。いずれは同様の拠点を藤野地域に数か所設置することも思い描く。「規模は小さくていい。住民の手でつくりあげていくことを大切にしたい」

地域の資源を生かし、エネルギー自給率をさらに上げていくことで、藤野がより魅力的なまちになればいい-。小田嶋さんは藤野電力を通して、未来を見つめている。

【関連記事】相模原市緑区で12/15、「ミニ太陽光発電システム組み立てワークショップ」が開かれます(かなマグ.net 2012年12月11日)

http://kanamag.net/archives/53093

 

【関連動画】ドイツのドキュメンタリー映画「第4の革命」、相模原市の上映会は100%自然エネルギー発電で開催します!上映会後には参加者同士のディスカッションタイムも(かなマグ.net 2012年2月27日)

http://kanamag.net/archives/31844

▽藤野電力
http://fujinodenryoku.jimdo.com/

▽トランジション藤野 facebookページ
https://www.facebook.com/ttfujino

▽NPO法人トランジション・ジャパン
http://www.transition-japan.net/

▽藤野観光協会
http://info-fujino.com/

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開演前の「ドキドキ」が伝わるポスターの魅力を伝えたい /グラフィックデザイナー 中川憲造さん


グラフィックデザイナー 中川憲造さん (NDCグラフィックス=横浜市中区海岸通にて)

グラフィックデザイナー 中川憲造さん (NDCグラフィックス=横浜市中区海岸通にて)

神奈川フィルハーモニー管弦楽団の応援マスコット犬キャラクター「ブルーダル」、横浜市「公式横浜ベイシティ交通マップ」…私たちが知らず知らずのうちに親しみ、目にしているこれらのデザインは、「株式会社NDCグラフィックス(本社・横浜市中区海岸通)が手がけている。約20年前、「横浜ランドマークタワー」のプロジェクトがきっかけで横浜に事務所を構え、みなとみらいの歴史とともに歩んできた同社代表取締役社長は、グラフィックデザイナーの中川憲造さん。中川さんは、仲間とともに実行委員会をつくり「伝えるデザインの力 ポーランドポスター展」(11月3日~12月3日、ヨコハマ創造都市センター)をプロデュースしている。長年、社会と人を見つめ、グラフィックデザインの力でその2つをつないできた中川さんに、展覧会への思い、みどころと今後について聞いた。

エネルギッシュで創造力豊かな
デザインの力で今の日本を元気にしたい

エネルギッシュなポスターが並ぶ「伝えるデザインの力・ポーランドポスター展」(ヨコハマ創造都市センター=横浜市中区本町にて)

エネルギッシュなポスターが並ぶ「伝えるデザインの力・ポーランドポスター展」(ヨコハマ創造都市センター=横浜市中区本町にて)

「150年前にペリーが来航した際、横浜を目指して来たわけじゃないと思う。長崎で、浦賀で、との交渉のさきに横浜となった。だが今や横浜はペリーなしには語れないでしょう? 今回のポーランドポスター展も、横浜でなければならないというわけではなかったけれど、この偶然性を大切にしたい」と中川さんは話す。
 2年前の夏、長年、ポーランドと日本両国のグラフィックデザインの交流に尽力して来た松浦昇氏から、日本で展覧会を開きたいと相談された。世界初のポスター美術館である「ヴィラヌフポスター美術館」が所蔵する世界に誇るポスターを、日本の多くの人にも見てほしいということだった。
 「1950〜60年代は、ポーランドの国土が第2次世界大戦で破壊し尽くされた後の困難な時代だった。また、共産主義体制下で社会的に抑圧されていたからこそ、デザイナーたちの描いた絵には、エネルギッシュで想像力豊かなアイデア、ポップな色彩があふれている。それらを見てもらうことで、今の少々元気のない日本の人たちに、ポスターから元気をもらってもらいたい」と中川さんは開催意図について語る。
「ポスターの役割は、音楽会でいえばプレリュードのようなもの。館内の音がもれ聴こえて来るようなワクワク感、演劇でいえば幕が開く直前のドキドキ感が伝わってくること。イベントのテーマの一端が見え隠れすることで、そこへ足を運びたくなる…ポスターの魅力を実感してほしい」と、中川さんは言葉を重ねた。
 松浦さんの相談から1年半、この3月にやっと会場が決まった。「ヨコハマ創造都市センター」は内部に素晴らしい空間をもつ歴史的建造物で、その空間を生かした展示構成をはじめ、告知ポスターのデザイン、ミュージアムショップ、レセプションパーティーに至るまで、アイデアを練った。「展覧会をデザインする」との考え方で、これらすべてをNDCグラフィックスが中心となり、運営することになった。

ポーランド文化に触れる機会を作って
ファンを増やしたい

 現状、日本とポーランドとの接点は少ない。だから、中川さんはポスター展と同時に、ポーランド文化を会場で感じてもらう工夫をしている。展覧会初日の11月3日には、ポーランドから招聘した「ヴィラヌフポスター美術館」館長による、ポーランドポスターの意義と魅力を語るギャラリートークを、また16日には日本を代表するグラフィックデザイナーを迎え、中川さんの司会によるトークショーが開かれた。さらに会期末の12月1日(土)にはポーランドの音楽デュオ、Sza/Za(シャザ)による、映画監督ポランスキーの映像にあわせてクラリネットとヴァイオリンが奏でられる演奏会も企画されている。予約不要、観覧券で参加できる。
 「レセプションパーティーのときに、声楽家・丸尾有香さんが披露した『森へ行きましょう』もポーランド民謡。ショパンをはじめ、実はポーランドの音楽は身近な存在」と中川さん。会場1階のカフェ&ショップでは、横浜の菓子メーカー「モンテローザ」に依頼したポーランド伝統菓子「ポンチキ」などを味わいながら、ポーランドに思いをはせることもできる。

YCCカフェで味わえるポーランドの伝統菓子ポンチキなど(ヨコハマ創造都市センター=横浜市中区本町にて)

YCCカフェで味わえるポーランドの伝統菓子ポンチキなど(ヨコハマ創造都市センター=横浜市中区本町にて)

つながりを「みえる化」するのがデザイナーの役割

 中川さんが初めてデザインという行為を実践したのは、中学生の時だった。クラスの学級新聞を毎週発行していた中川さんは、自ら記事を書き、タイトルを付けて、漫画も描いた。それが原点だという。
 ジャーナリストというのは、事件の経過を記事にするだけでなく、見えてない部分を掘り下げ、顕在化させる。「デザイナーも同じ。ものやこと、人の間にあるストーリーを見つけて、形にしていく。その『素(もと)』となるものは、隠れて散らばっていて、ふだんは見えない。それらを見つけ出し、かけあわせて形にする。様々な出会いを放っておくと何も生まれないけれど、意図的に仕掛けることで面白いものが誕生する」と、デザインの果たす力について語る中川さん。
 さらに「横浜は人や情報が交差し、新しいものが生まれていく可能性を秘めている都市。僕自身も異質なものの出会いを自覚しながら、デザインの力でその『化学反応』を促進したい」と中川さんは言う。
 今回のポスター展は「人との縁で、たまたま横浜で開催することになった“偶然の出会い”」。その偶然を大事にし「面白く変化させていくアイデアやプロセスが重要」だという。そしてポーランドから来たポスターを眺めるだけではなく「わたしたちが『この展覧会をどうデザインしたか』という視点でも、ぜひ見て楽しんでほしい」と話している。

神奈川フィルハーモニー管弦楽団の応援マスコット犬キャラクター「ブルーダル」もNDCグラフィックスによるデザイン(NDCグラフィックス=横浜市中区海岸通にて)

神奈川フィルハーモニー管弦楽団の応援マスコット犬キャラクター「ブルーダル」もNDCグラフィックスによるデザイン(NDCグラフィックス=横浜市中区海岸通にて)

【開催情報】
 中川さんディレクションの同展覧会ポスターは、元町商店街、馬車道商店街、各種交通機関の駅構内などに貼られており、神奈川県内はもちろん、全国各地より観覧客が訪れている。ただ美しいだけではない、メッセージ性が感じられる作品を集めた「伝えるデザインの力・ポーランドポスター展」は、12月3日(月)まで。11月24(土)・25 (日)各13時からは「クラシックヨコハマ サロンコンサート@YCC」などの関連イベント(どちらも入場無料)も行われる。

▽リンク
伝えるデザインの力・ポーランドポスター展
http://www.polandposter.jp/

NDCグラフィックス
http://www.ndc-graphics.jp

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日本初? へビーメタルの精神で地域活性化を目指す 宮前重金属発掘計画プロジェクトチーム(川崎市宮前区)


プロジェクトメンバーの宮前区役所職員。「熱い想いを持って取り組んでいます」と語る(宮前区役所で)

プロジェクトメンバーの宮前区役所職員。「熱い想いを持って取り組んでいます」と語る(宮前区役所で)

「絶対ダメだー!」「心と体のメンテナンス!」と叫ぶボーカルに、耳をつんざくようなギターの音が重なる映像-。「どこかのバンドのうるさい宣伝」ではない。これは「脱法ドラッグ撲滅」という、社会課題解決のために制作されたキャンペーンCMだ。2012年の今年、区制30周年を迎えた川崎市宮前区の地域活性化事業の一環で制作した。人気ヘビーメタルバンドSEX MACHINEGUNS(セックス・マシンガンズ)のリーダーANCHANG(アンチャン)の協力を得て、クリエイターらが「ノリにのって」進めるプロジェクトは、その名も「宮前重金属発掘計画」。「良識ある大人」にはちょっと眉をひそめられそうな「ヘビーメタル」という音楽ジャンルをあえてまちづくりに取り入れた、ちょっと変わった取り組みについて同区の担当チームに話を聞いた。

宮前区の特徴とは…?

同区は人口22万2362人(同年10月1日現在)。川崎市の中では中原区に次いで2番目に多い。しかし「これといった特徴のないまち」とも言われてきたという。

「まず、大きい公共施設はない。住民の平均年齢は42.3歳と若いものの、勤務先は都心の方が多いからか、地域への関心は淡々としている印象です」と、プロジェクトチーム事務局長で宮前区地域振興課の大竹薫課長(53)は分析する。

区制30周年を機に、これまで地域に関心が薄い層にも振り向いてもらえるようなインパクトのあるまちづくり事業を検討していたとき、同年1月発表のセックス・マシンガンズの楽曲「雨の川崎」でプロモーションビデオ(PV)制作を手掛けた、同区在勤の映像作家井上秀憲さん(44)が区役所を訪れた。

井上さんは、PVに出演する競技用自転車選手が同区に住んでいる経緯も踏まえて「宮前区と一緒に曲のPRができないか」と提案した。応対した企画課(当時は地域振興課)職員中村圭佑さん(27)=プロジェクト副事務局長=が30周年事業担当で、しかも大のヘビーメタルファンだったことから、「メタルを活用したまちづくり」プロジェクト案が浮上、一気に話が進んだ。

11/18、「ヘビーメタルとまちづくり」を考えるフォーラムも

宮前重金属発掘計画ホームページより

宮前重金属発掘計画ホームページより

プロジェクトの第一弾が、脱法ドラッグ撲滅キャンペーンだった。アンチャンのスケジュールの都合上、宮前区役所に深夜に集まり、車庫で映像を撮影した。同区30周年記念キャラクター「宮前兄妹」も共演。メタルと「ゆるキャラ」とのコラボが強烈な印象を残す。インターネット動画投稿サイトYouTubeでは、再生回数が1700回を超えた。大竹課長は「若者が耳を貸してくれるよう、強いインパクトのある内容にしたかった。行政ではこれまでなかった取り組み」と意気込む。

「宮前重金属発掘計画」プロジェクトチームは井上さんをリーダーに、宮前区長、メタル焼肉屋オーナー、ハワイアンカフェオーナーなどの個性豊かな区民や音楽関係者らの25人で構成されている。アンチャンや「キャプテン和田」の愛称で親しまれている音楽評論家の和田誠さんも名を連ねる。10月23日から11月1日まで、区役所ロビーで、区とヘビーメタル30年の歴史を写真と年表で振り返る展示会を開催し、会場にはロックファン垂涎の貴重な品を並べた。

プロジェクトはこれからが正念場だ。11月18日には宮前市民館で、ヘビーメタルとまちづくりを考えるフォーラムを開く。フォーラムではヘビーメタルが疎まれる理由を探る映画「メタル・ヘッドバンガーズ・ジャーニー」の上映、パネルディスカッションを予定。記者会見で今後のプロジェクト内容を発表する予定だ。

「限界に挑戦する」精神で人材発掘を!

区役所ロビーで開かれた展示会

区役所ロビーで開かれた展示会

今回のプロジェクト名に「発掘」という言葉を入れたことについて、大竹課長は「人材も宮前区の“資源”。住民のみなさんに知ってもらい、地域に誇りを持ってもらいたい」と語る。ヘビーメタルを演奏する人のように「一つの道に魂を込め、限界に挑戦」する区民を発掘し、新たな区の資源として紹介する取り組みも始めた。第1期の「宮前鉄男(メタルマン)」には、鉛筆削り器のカッター部分を国内で唯一製造する会社の社長、エコカー制作に打ち込む宮前平中の生徒など5組を認定した。

これまで、光の当たらない存在だった音楽・ヘビーメタルと自治体が絡むまちづくり。川崎市が今や「音楽のまち」として多くの人に知られているように、宮前区も「ハードでへビーな地域への愛着」を持った人が住み、交流しあうまちを目指して、これからユニークなアクションが展開される。

「反響には賛否両論あるが、応援したいという方が意外と多い。市外から訪れる人が増えれば地域産業の活性化にもつながる。区民の皆さんに還元できるプロジェクトにしたい」とチームのメンバーは張り切っている。

【関連記事】日本初?「ヘビーメタルでまちづくり」を探るフォーラム。 川崎・宮前区で(かなマグ.net 2012年11月1日)

http://kanamag.net/archives/50515

【動画】日本初?「ヘビメタでまちづくり」を探るフォーラム。11/18 川崎・宮前区で(かなマグ.net 2012年11月1日)

http://kanamag.net/archives/50546

▽リンク

ヘビーメタル(ヘヴィメタル)とは

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%AB

宮前重金属発掘計画

http://www.miyamaemetal.net/project.html

SEX MACHINEGUNS(セックス・マシンガンズ)オフィシャルサイト

http://sexmachineguns.smg-fire.com/

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現地に行かなくてもできる復興支援ボランティアを広めたい 被災地の写真洗浄活動を続ける/海辺のあらいぐま(茅ヶ崎市) メンバー千葉晃嗣さん、丸田恵吾さん


海辺のあらいぐまメンバーの千葉晃嗣さん(右)、丸田恵吾さん(左)=茅ヶ崎市で

海辺のあらいぐまメンバーの千葉晃嗣さん(右)、丸田恵吾さん(左)=茅ヶ崎市で


湘南・茅ヶ崎市で、東日本大震災による津波によって壊れた家屋から流出し、持ち主が分からなくなり、汚れてしまった写真を洗浄するボランティア団体「海辺のあらいぐま」を運営している千葉晃嗣さんと丸田恵吾さん。本業はカメラマンでもある2人。2011年夏、東北地方でボランティアをしている際に、津波で流された拾得物の展示場を訪れた。そこで、持ち主の元に戻れず、腐食した写真を目にして衝撃を受けた。その後、東京で写真洗浄をしているボランティア団体があることを知り、参加。その後、その支部として茅ヶ崎で「海辺のあらいぐま」をスタートした。その活動と今後について千葉さんに聞いた。

一刻も早く持ち主に戻したい
東北復興支援のボランティアとして、2011年夏、東北地方にある拾得物の展示場で津波によって流された写真を目にした千葉さんは、笑顔で写っている結婚式のスタジオ写真や幸せな日常のスナップ写真が、まるで燃えてしまったかのように変色しているのを見て衝撃を受けた。

バクテリアが写真のゼラチン質を食い荒らし、写真の表面が溶けて黄色や赤の層が染み出ていた。津波で流されたアルバムは、自衛隊や消防団、地元住民が瓦礫を撤去している際に見つかることが多く、腐食が激しい。早く洗浄しないと劣化が進み、腐食し、最悪の場合は、像が消えて真っ白になってしまうという。「どの写真も『大切な思い出』だったのだろうな。『この写真に写っている人たち、今どうしてるんだろう?』という思い、また『写真の中の幸せ』と『消えそうになってしまっている写真』とのギャップに、ショックを感じました」。

最初のボランティアに参加後、被災地の写真を預かって洗浄している東京都武蔵野市のボランティア団体「あらいぐま作戦」の存在を知り、同活動に参加。今すぐ洗浄する必要がある写真が大量にあり、とても1ヵ所では追いつかないという状況だったが、さらに追い打ちをかけるように、作業場としていた木造アパートの取り壊しが決定していた。

このため「あらいぐま作戦」では新たな洗浄拠点を探していた。そこで千葉さんは、居住している茅ヶ崎のマンションで理事会に相談。幸い理解を得られ、共有スペースである娯楽室の使用できることになった。「あらいぐま作戦」に参加していた横浜・湘南地区のメンバー5人による「海辺のあらいぐま」は、こうしてスタートした。

千葉さんは「リーダーなんて向いていないし、パソコンも持っていない。洗浄経験も数えるほど…。そもそも茅ヶ崎のような小さな街で参加者が集まるのか?」と思いながらも、Twitterやブログ、ボランティア募集の掲示板に掲載する方法をメンバーに教えてもらいつつ、すべてを手探りで始めた。

ボランティアで洗浄ノウハウ共有
傷んだ写真の洗浄は、アルバムから写真を丁寧に剥がすことから始まる。その後、大まかに汚れを落としてからすべての写真をスキャンしてCD-ROMに収録。筆や指を使って水洗いしたり、細かい汚れは歯ブラシや化粧パフ、綿棒などを使って落としていく、女性の参加者からの提案で導入した化粧小物が役立っているという。

CD-ROMに収録した写真は筆や指を使って、丁寧に水洗いする。

CD-ROMに収録した写真は筆や指を使って、丁寧に水洗いする。

カビの繁殖を防ぐため、写真を完全に乾燥させてから、新しいポケットアルバムに収納し、最後にCD-ROMを添付。写真の持ち主に発見してもらいやすいように、表紙に集合写真を貼付けたり、キーワード「結婚式」、「○×小学校卒業式」、「海水浴」などを書き出すように工夫している。これらのアルバムは作業終了後、東北各地の展示場や、仮説住宅での出張展示会に送られる。その後、半分以上は持ち主が見つかっているとのこと。

洗浄後の写真が完全に乾燥するように室内で陰干しする。

洗浄後の写真が完全に乾燥するように室内で陰干しする。

「海辺のあらいぐま」では、募金等は行わず、参加者に交通費を負担してもらう代わりに、作業に必要な小物や消耗品は千葉さん、丸田さんが用意するという形で運営している。またマスクや紙製アルバム、印画紙などは、被災地の写真洗浄を支援している富士フイルムが支給している。

写真洗浄をボランティアの一歩に
活動を始めて1年が経った。週2回、毎回約20人参加している。インターネットを使った告知が効を奏し、現在では、実参加人数340名以上。洗浄枚数約2万枚(アルバム900冊)、そのすべてをデジタル化している。関東各県から参加があり、そのほとんどがボランティアに初めて参加するという人ばかり。また、海外在住の方から「一時帰国に合わせて参加したい」という問い合わせもあり、インターネットのありがたさも感じている。

これらのアルバムは作業終了後、東北各地へ送られる。

これらのアルバムは作業終了後、東北各地へ送られる。

震災後、ボランティアをしたいと思っていたものの「被災地での活動は体力などに不安があって踏み出せなかったが、写真洗浄ならできそう」という人が多いという。千葉さんは「被災地を支援したいという温かな気持ちに触れると私たちもうれしい。この活動を通じて、広い意味で隣の人のことを考えられる機会がもっと増えるといいなと思います。被災地でなくてもできるボランティアがあることを知ってもらいたい」と語る。

東北でのボランティアに参加している人も多く、昼食時に情報交換をすることもある。また参加者が「海辺のあらいぐま」以外のボランティア団体の活動を体験し、持ち帰ったパンフレットは作業場に貼るようにしている。地域の活動に関心を持ってもらい、他のボランティア活動を始めるきっかけを提供する場にもなっている。「湘南発の小さなボランティア」がやがて大きな輪になっていくように、千葉さんたちは活動を続けていく。

参加者が体験した他のボランティア団体のパンフレットも作業場に貼っている。

参加者が体験した他のボランティア団体のパンフレットも作業場に貼っている。

▽リンク
海辺のあらいぐま
http://beachguma.blog.fc2.com/

写真救済プロジェクト(富士フイルム)
http://fujifilm.jp/support/fukkoshien/

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音楽の力で、街を 人を もっとハッピーに/NPO法人アークシップ(横浜市西区)代表・長谷川篤司さん


NPO法人アークシップ代表の長谷川さん=横浜市西区で

NPO法人アークシップ代表の長谷川さん=横浜市西区で

「音楽は、生死に直接かかわらないという意味で緊急性はない。でも、音楽の力によって人も街も元気になれますよね」。横浜を拠点に、音楽活動支援と地域活性化に取り組むNPO法人アークシップ。街と人と音楽をつなげるイベント運営を通して、元気で心が豊かになるまちづくりに貢献している。

2012年度は、神奈川県の新しい公共支援事業「寄附促進に向けたNPO認知度向上事業」の一環で、横浜エフエム放送株式会社(横浜市西区)と協働した啓発事業も進行中。代表の長谷川篤司さん(39)に、活動へ込める想いやこれから目指すものについて話を聞いた。

「プロ志望」から「ミュージシャン・街を応援」へ

もともと、エレキギターでプロのミュージシャンを目指していた長谷川さん。アルバイト先の楽器店で出会った40代社会人のお客さんのバンドに入り、平日は仕事、土日は好きなバンド活動をしている姿を見て、忘れていた「純粋に音楽を楽しむ」ということを再認識したという。

しかし、社会人バンドは発表の機会がないことを知り2001年7月、社会人バンドが出演するイベント「おとバン」を企画。その後、プロになる・ならないは別としたコンテストを開催しようと、おとバンの仲間で「ストリートミュージシャンフェスティバル横浜」を2002年3月開催した。その実行委員会が、形を変えてアークシップというNPO法人になった。

「イベントを創ることで、自分の知らない誰かが感動してくれることを知りました。そして、創る仲間と味わう達成感を味わったことが、NPO法人化を決心したきっかけだったと思います。何かにすがるように思っていたプロのミュージシャンを目指すことに区切りを付け、自分にしかできない新しい道を見つけられたような気がしました」

現在は、出演する人も観る人も楽しめる音楽関連イベントを、県内各地で年間50ほど開催。動物園などを舞台に音楽、映像、その他のパフォーマンスが楽しめる「動物園劇場」(9月29日、同市・野毛山動物園周辺)、普段は演奏場所でない人通りの多いオープンスペースをミュージシャンに開放する「横浜音楽空間」(10月20日、同市中区伊勢佐木町)、世界の様々な音楽・踊りを複数の歴史的建造物のステージで同時開催するホッチポッチミュージックフェスティバル(10月21日、同市中区日本大通りなど)…。秋からはイベントが目白押しだ。

かながわ県民900万人が歌える ありがとうソングコンテスト

かながわ県民900万人が歌える ありがとうソングコンテスト

感謝の気持ちを込めた歌「ありがとうソング」コンテスト

そんな中、FMヨコハマと進める新しい公共支援事業「かながわ県民900万人が歌える ありがとうソングコンテスト」は、地域の課題解決や暮らしやすいまちづくりに奮闘するNPO法人への寄付を促すため、NPOの存在感をアピールする内容だ。感謝の気持ちをのせた歌が広がっていくさまをリレーのバトンにたとえ、さまざまな世代の神奈川県民が口ずさめる曲を募集。8月末まで2か月間の募集期間中、県内外から113組のエントリーがあった。

「テーマが限定されているだけに、多くて70組から80組程度を予想していましたが、大幅に予想を超える結果に驚き。『ありがとう』という言葉への思い入れをそれぞれが持っており、その思いが伝わってくるのが今までのコンテストとは大きく違う印象です」

一次審査を通過した5組のアーティストは11月18日、横浜赤レンガ倉庫(同市中区新港)で開催される公開コンテストに出場し、グランプリを競う。グランプリに選ばれた曲は、FMヨコハマの番組「もっとつながろう!NPO」のテーマソングとして使うほか、曲を収録したCDを制作し、希望する県内のNPOに配布。コンテストの模様を収録した特別番組もFMヨコハマで12月2日、放送される。

「~してくれてありがとう」という第三者への感謝の気持ちを表現する曲。歌とコンテストによって、これまでNPOや社会貢献に関心のなかった層へもPR効果が期待される。

NPO法人10周年を迎えて

アークシップは今年、設立10周年を迎えた。今後は組織としての仕組みを整備し、活動の場を広げて人と人がつながる機会を増やすのが目標だ。「理事やボランティアの体制を見直し、20周年を迎える頃には、全国各地で同様の活動ができるようにしたい」という。まちなかに人が奏でる音が流れ、笑顔が生まれる。長谷川さんは、その笑顔を増やす仕事を、これからも担い続けていく。

▽NPO法人アークシップ

http://www.arcship.jp/

▽神奈川県民900万人が歌える ありがとうソングコンテスト

http://www.fmyokohama.co.jp/arigatou/

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