今住む地域で被災地支援ボランティア!陸前高田を「伝える」活動-AidTAKATA東京事務局、粟飯原匡伸さん


 9月23日、コーヒーショップ「フォレストコーヒー」(川崎市中原区井田中ノ町)で「陸前高田市復興支援『やなせたかしのメルヘン絵本』読み聞かせ会」が行われた。これは、東日本大震災による津波で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市支援のための団体「AidTAKATA」の東京事務所が展開する「10のn乗プロジェクト ~陸前高田市 新生のために~」の一環だ。

写真を手に陸前高田の説明をする粟飯原さん。子どもたちも真剣に耳を傾ける

写真を手に陸前高田の説明をする粟飯原さん。子どもたちも真剣に耳を傾ける

 「10のn乗プロジェクト」は2011年8月に始まった。「陸前高田を知らない人の、陸前高田を知らない人による、陸前高田を知らない人のための、プロジェクト」がテーマ。実際に被災の現場に足を運べなくても「伝えること」「忘れないこと」で陸前高田を支援する。

 具体的には、同プロジェクトに賛同した人によるソーシャルメディア(ツイッター、フェイスブックなど)を使った陸前高田情報の発信やメーリングリストによる情報交換を目指している。同プロジェクトを主催するのは「AidTAKATA」東京事務局スタッフで大学職員の粟飯原匡伸(あいはらまさのぶ)さん(34)=川崎市中原区=。
 
 「AidTAKATA」は、震災発生後すぐに、首都圏在住の陸前高田市出身者が集まって結成。粟飯原さんは、同団体がサポートした陸前高田市をテーマとする写真展を訪れたことをきっかけに、6月から関わりはじめた。陸前高田市出身以外のメンバーは粟飯原さんが初だったという。
 
 イベントを地元で企画した理由について粟飯原さんは「被災地に行って実際に活動することばかりがクローズアップされがちだが、行かなくてもできることがある。それがこの『10のn乗プロジェクト』です。陸前高田のことを忘れないこと、次世代に伝えていくことを目指しています。そのためイベントの対象を子どもから青少年に絞っています」と話す。

読み聞かせをする船田さん。子どもたちは、画像よりも、読んでいる船田さんを見つめる

読み聞かせをする船田さん。子どもたちは、画像よりも、読んでいる船田さんを見つめる

 今回は、陸前高田の被害の大きさとその地域について知ってもらうため、絵本作家やなせたかしさんが、大津波にも流されずにただ1本だけ残った高田松原の「奇跡の一本松」をテーマに描いた「松の木の歌」(「やなせたかしのメルヘン絵本」収録、朝日学生新聞社出版刊)の読み聞かせと、陸前高田に関するクイズを実施した。

 読み聞かせは、粟飯原さんの後輩、随行優花(ずいこうゆか)さん(22)=川崎市中原区=と船田直美さん(23)=東京都世田谷区=が、クイズは元幼稚園教諭の小野直美さん(39)=川崎市中原区=らが担当した。

 イベントの参加者は、乳幼児~5歳くらいまでの子どもを中心に、親子合わせて18名。父親と参加した未就学児が多く、終始にぎやかなイベントとなった。わからないながらもクイズに手をあげたり、「つなみたいへん」「じしんこわかった」など、子どもたちの素直な声も多く聞かれた。

陸前高田に関するクイズを出題する小野さんと、元気に答える子どもたち

陸前高田に関するクイズを出題する小野さんと、元気に答える子どもたち

 当日の運営ボランティアは、ツイッターでの呼びかけとスタッフのつながりで集まった。

 そのうちの1人の小野さんは、地震発生直後から、ソーシャルメディアでの被災地からの発信に注目し始めた。「はじめは自分の情報収集用にツイッターを使っていましたが、地元川崎での支援に関する発信も始めたところ、わたしのフォロワーがどんどん増えていきました。そこで、自分がキャッチした被災地の情報を積極的に発信するようになりました」と語る。

 ツイッターを通じて「10のn乗プロジェクト」を知り、次いで、今回のイベントを知った。「今までは被災地にはなかなか行けず、見守ることしかできませんでした。住んでいる場所の近くで子どもに読み聞かせやクイズを通して被災地のことを知らせる、という方法であれば、私自身の経験を生かすことができると思い、今回は喜んで参加しました」。同じくツイッター経由で、一緒に参加したボランティアはほかに2人。それぞれ「得意なことを生かしたい」と、ボランティアに参加した。「人が集まれば力になることが実感できた」と小野さんは笑顔を見せた。

 読み聞かせを担当した大学生の随行さんは、震災発生後すぐにソーシャルネットワーキングシステム(SNS)mixiで募金を呼びかけるなど、ボランティア活動には積極的だったという。「実際に読み聞かせをしてみて、子どもながらになにか感じてくれているのではと感じました。今後は実際に陸前高田に行ってみて現地を見たい」と語る。

 また一緒に読み聞かせをした会社員の船田さんは「物資・資金の支援はしていたが『伝える』という形のボランティアは新しい形だと思います。これなら、自分にもできると感じました。これからも、子どもたちが陸前高田のことを忘れないように伝えていきたいと思います」と話す。

イベントを終えて笑顔を見せる、(左から)粟飯原さん・船田さん・随行さん

イベントを終えて笑顔を見せる、(左から)粟飯原さん・船田さん・随行さん

 このプロジェクトは、川崎市中原区の東急東横線・元住吉駅周辺の住民が活動することから「チーム元住吉」と名付けられた。元住吉に長く住む粟飯原さんは、地域住民の社会活動が活発で地域問題への意識が高い点に可能性を感じ、活動を展開することに決めたという。

 今回のイベントも、ツイッター、会場となったフォレストコーヒーでの掲示、同店携帯サイトのみでの告知だったが、1週間前には定員に達し、粟飯原さんは関心の高さを感じたという。

 「10のn乗プロジェクト」は、これからも子どもから青少年を対象に活動していくという。粟飯原さんは「5年10年続けて行くつもりでこのプロジェクトを運営しています。子どもや学生たちの成長の過程に『陸前高田』が自然と組み込まれるのが理想です。たとえ現地に行けなくても、少しでもかかわりたいと思う人は、自分の個性を生かし、無理なく活動することができます。それが陸前高田への支援を長く続けるために必要なことだと思います」と強調し、幅広い市民の参加を呼びかけている。

 次回の読み聞かせイベントは、10月23日(日)9時半~10時。今回と同じくフォレストコーヒーで開催する。また同じ23日に他の場所で、同時刻に、同じ内容の読み聞かせを開催するグループも募集中とのこと。詳細、問い合わせは、AidTAKATA東京事務局・粟飯原さん(soranowatagashi@gmail.com)まで。

▽リンク
フォレストコーヒー/10月も絵本読み聞かせ会開催します!
http://www.forestcoffee.jp/keitai/1317217203.html

10のn乗プロジェクト ~陸前高田市 新生のために~
http://10n.pikka.jp/
ツイッターアカウント
@at10n
AidTAKATA 陸前高田市支援連絡協議会
http://aidtakata.org/

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