木と土でつくる伝統構法を体験/二宮町でワークショップ「夏の泥こね隊」開催


 

鎌倉市にある自宅兼事務所にて撮影

釘などに頼らず、木組みの技で家をつくる「伝統構法」を提案している「きらくなたてものや」
(鎌倉市手広)は、7月8日、二宮町で土壁に使う泥こねを体験する「家づくりワークショップ」を行う。シンプルな自然素材を活用する家づくりの楽しさを、大人から子どもまで、実体験してもらう内容になっている。

現場で指揮をとるのは湘南エリアを中心に、木の特性と職人の高度な技術をいかした木組みが特長の伝統構法を手がける同社の一級建築士・日高保さん(41)。

この取り組みは、家を建てる「建て主」参加型の家づくりの楽しさを伝えようと2000年から始まった。不定期ながら、これまでの11年間に約150回のワークショップを実施している。

「泥こね隊」のワークショップ風景。粘土と藁と水を足でよくこねた後、寝かせて熟成させることで土に粘りが出て塗りやすくなるそうだ。

ワークショップでは「家づくりのプロセスを楽しむ」ことをモットーにしている。これまで、伝統構法の家づくりに興味を持つ人たちや、子どもたちがボランティアとして参加してきた。家をつくる喜びを五感で体験する機会を提供し、職人やメーカーに任せっきりになってしまいがちな「家づくり」を、建て主にもっと身近に感じてもらうことが目的だ。

参加者は、建て主の友人をはじめ神奈川県内・外からもブログやメールでの告知で集まるという。
また、以前に日高さんの手掛ける伝統構法で家を建てた建て主が、手伝いをしてもらった「恩返し」として参加することも多い。ワークショップはこれから家を建てたい人が、すでに家を建てた人から実際の住み心地を聞ける貴重な情報交換の場にもなっている。日高さんは「家づくりワークショップを通じ、建て主同士のつながりや交流が生まれていることもうれしい」と話す。

「泥こねなどの作業をしていると、ご近所の人にも、珍しがられてよく声をかけらるんですよ」と日高さん。見える家づくりは、地域の人にも自然と受け入れられているようだ。

7月8日に行われるワークショップは「夏の泥こね隊」と題して、来春の土壁に塗るための泥をこねる作業が行われる。材料は三重県産の粘土(4立方メートル)、無農薬の藁(100キロ)そして水。それらを建築現場に設置した大きな木枠の中に入れ、参加者は裸足になって一日がかりで泥をこねていく。

泥に飛び込む日高さん。大人も思わず夢中になってしまう泥こね作業。

「泥こね」の他にも防腐とツヤ出しの作用がある柿渋を木材に塗る「柿渋塗り」や、壁にしなやかな竹を格子状に張っていく「竹子舞かき」、壁に厚く土を塗る「荒壁つけ」などのワークショップがあり、建主の好意から家の上棟祝いに屋根から餅をまく行事「餅まき」も随時行われている。

職人が刻み上げた木材の一本一本に柿渋を塗っていく作業は家づくりの必須工程。ワークショップでは「柿渋隊」と呼ばれている。

「家づくりは、一生に何度も味わうことのできないビッグイベント。だからこそお祭りのように、みんなで楽しみたい」と日高さん。いろいろな人が家づくりにかかわることで、柱の一本一本にも物語が生まれ、住んでからも家に愛着がもてるという。

地元西鎌倉の中学校でも年2回、森や木の授業を通して未来の町づくりを担う子どもたちに家づくりの基礎を教えている日高さん。2007年に立ち上げた西鎌倉地域の教育機関と地元住民が行う地域協働型の音楽祭「柞(ははそ)の森音楽祭」(次回2012年3月開催予定)の実行委員メンバーとしてプロジェクトに携わるなど、家づくりから教育現場、町づくりへと日高さんの活躍の場は広がっている。

「コミュニティはなくても生きていけます。でも、地域とのコミュニティがあることで、心と生活が豊かになっていく……昔は義務的な農作業など、手伝いをさせられているという意識が強かったけれど、これからの時代のコミュニティは、もっと楽しいものになっていくと確信しています。家づくりワークショップをきっかけにコミュニティの必然性をあらためて伝えていきたい」と意欲的に語った。

ワークショップに参加するには、メールでの事前申し込みが必要。下記の申し込み先に1)氏名2)参加人数3)連絡先を明記の上送信。参加費無料。当日は昼食がふるまわれ、交通費が一律1,000円が支給される。

◆家づくりワークショップ「夏の泥こね隊」概要◆

日時:7月8日 午前9時~18時(都合のつく時間だけでも可)
場所:神奈川県二宮町山西
集合:午前9時現地集合
申し込み締め切り:7月7日
※集合場所などの詳細情報は、申し込みメール確認後に連絡
※雨天中止となる場合あり(当日午前7時までに決定)
※持ち物:作業できる服装(着替え)、ビーチサンダル、タオル数枚、バスタオル
▽参加申し込み先
tamotsu.hidaka@kirakunat.com

▽リンク
「きらくなたてものや」
http://www.kirakunat.com/

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