東北4県の高校生と神奈川の高校生が合同で「高校生東北商店街」を開催-スタッフの高校生と先生に話を聞く


7月30・31日に、横浜駅西口イベント広場(横浜市西区)とJR平塚駅北口デパート梅屋入口(平塚市紅屋町)で、被災した東北4県と、神奈川県内の商業高校生による、「東北商店街-そうだ東北に行こう!みんなで行こう!」が開催された。企画を手がけた神奈川県商業教育研究会のメンバーで横浜市立みなと総合高等学校・副校長の小市聡さんと運営に携わった高校生たちに、このイベントを通して得たこと、今後の活動などについて聞いた。

地元の商品を販売する宮城県立一迫商業高等学校の生徒

地元の商品を販売する宮城県立一迫商業高等学校の生徒

このイベントには、青森・岩手・宮城・福島の4県の8商業高校の30人と、商業科が設置されている県内の9校(県立厚木商高、県立平塚商高、県立小田原総合ビジネス高、県立相原高、川崎市立商高、横浜市立横浜商業高、横浜市立みなと総合高、藤沢翔陵高、高木学園女子高)の生徒約100人が参加した。神奈川県商業教育研究会が主催し、県内の教育機関・企業・NPOなどの協力を得て実現した。
主役は被災地東北4県(福島・宮城・岩手・青森)から参加した30人の高校生。主催である同研究会が招待した。東北の高校と神奈川の高校が、1校ずつペアを組み、チームをつくって販売に臨んだ。

東北の高校生たちは、地元の企業や卒業生たちと協力して商品を開発し、首都圏である神奈川で売れる方法を考えた。ただ、店頭に立って売るだけでなくふだんの勉強を生かし、「どうやったら売れるのか?」を考えながら、少しでも地元の企業に役立ちたいという思いで準備を進めたという。

石巻の高校生たちがデザインしたラベルをつけた缶詰。津波の被害を免れた貴重な商品

石巻の高校生たちがデザインしたラベルをつけた缶詰。津波の被害を免れた貴重な商品

数ある商品のうち、客からの反応がよく、注目されたのが宮城県石巻市の海産物を使った缶詰だ。
この商品は、津波の被害にあった石巻の漁港近くに残っていた缶詰を被災地内外のボランティアが回収し、同市内の高校生がデザインしたラベルをつけた「連携のたまもの」だ。種類は鯨・さば・いわし・さんまの4種類。「津波で生き残った、縁起のいい缶詰、いかがですかー?」と声を張り上げる生徒たちに、道行く人々は興味津々に足を止め、1個の缶詰ができるまでのストーリーに耳を傾ける姿もみられた。

一方神奈川では、6月から受け入れ準備を開始した。県内の参加9校からリーダーとなる生徒を募り、説明会で顔合わせ。その後は教師たちが集まり、得意分野で各校の分担を決めていったという。

売上がチャリティーとなった、神奈川の生徒考案のシリコンブレスレット

売上がチャリティーとなった、神奈川の生徒考案のシリコンブレスレット

神奈川の生徒たちは、ペアを組む東北の各校の販売する商品の情報だけでなく、各地の震災の被害の状況などを調べた。これは教師たちが指示したことではなく、すべて生徒たちが自発的に行ったのだという。

また、生徒たちの意見から製作・販売されたのが復興支援金を集めるためのシリコンブレスレットだ。「笑顔の力無限大」という意味の「★INFINITE POWER OF SMILE★」とプリントされたデザインは厚木商高が担当した。

当日は、東北物産販売のほかに、東北4県の観光PRや募金の呼びかけを、東北・神奈川の生徒たちが合同で行った。会うのはイベント当日が初めてだったが、東北商店街実行委員会代表の平野玉葉さん(横浜市立みなと総合高等学校2年)は「品ぞろえはもちろん、接客の雰囲気から東北の学校のみんなががんばってる気持ちが伝わってきてうれしい。一緒に販売することも楽しいし、道行く人もあたたかくて感動しています」と表情を輝かせた。

募金活動を行う神奈川県の高校生

募金活動を行う神奈川県の高校生

販売の現場では、品物が少なくなってくると誰ともなく商品や売り場のレイアウトを変更するなど、連携がとれた接客ぶりで、最後に各県の物産が売り切れると拍手が起きたという。

2日間で、東北から持ち込んだ商品は全て完売、約340万円の売上が上がったという。その内の約15%が東北各校への寄付となる。また寄付の総額は2日間で90万円を越えた。「これはまさしく高校生たちのがんばりに、神奈川のお客様が答えてくださった形です」と小市さんは言う。

東北の高校生たちは「人の多さにびっくりした」とともに「神奈川に住むたくさんの東北出身の方々が話しかけてくれたことに驚き、感激した」と話す。「将来は販売の仕事に就きたい」という生徒は「人口の多い神奈川という土地で、わたしたちの地元・東北の商品を販売できたことは貴重な経験になりました」と話す。
神奈川側の生徒の一人は「高校生である自分たちが積極的に支援に貢献できたことがうれしい」と充実した2日間を振り返る。

ふだん学んでいるコミュニケーションや販売の実践の場としても、今回のイベントは価値があったという。客を目の前にした生徒たちが、積極的にコミュニケーションを取り、商品を完売させるための努力をその場その場でしていく姿に「商業高校だからこそできた今回の企画だった」小市さんは振り返る。

今回のイベントで上がった収益は、すべて東北8校へ均等に配布する。一部地域には8月下旬に神奈川の高校生が直接持参するとともに、現地の様子を視察して神奈川県内の生徒に報告する予定だ。
このイベントを機につながった東北と神奈川の高校生の連携は、復興を目指す東北地方の明るい光となりそうだ。

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