結成6年目の快挙!パリの国際見本市へ初出品-箱根寄木細工若手職人グループ「雑木囃子」代表 露木清高さん


 箱根寄木細工若手職人6人によるグループ「雑木囃子(ぞうきばやし)」が、世界的プロダクトデザイナーとして活躍する喜多俊之さんの推薦を受け、2011年9月9日~13日にフランスのパリで行われた欧州最大のインテリアとデザインの国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」に初出品し、世界デビューを果たした。
 
「雑木囃子」代表の露木清高さん(32)=小田原市早川=らが現地入りして、世界トップクラスの優れた木工製品やインテリアデザインに触れた。

「雑木囃子」が手がけた作品は、各国の新進クリエーターをPRする特別展示スペース「タラン・ア・ラ・カルト」で紹介され、これまでの箱根寄木細工のイメージを一新させるような、曲線を描いたモダンな「抹茶碗」や、ファッション性の高い「バングル」や「ボタン」などが並び、世界に通用するプロダクトデザインとして海外バイヤーから高い評価を得た。

「雑木囃子」メンバー集合写真『寄木のわかいかたち展』にて


「雑木囃子」は、小田原箱根伝統寄木協同組合(神奈川県小田原市久野621)に加盟する、20~30代前半の若手後継者や従業員で構成する6人グループで、2005年に結成。同年10月から、技術・意匠向上を目指して「寄木の若いかたち展」をはじめ、若手職人らによるオリジナル作品展示を同年10月からほぼ毎年行っている。

「雑木囃子」のメンバーが、これからの寄木細工を担う職人として、プロダクトデザイナーの喜多さんから直接指導を受ける機会を得たのが結成3年目の2008年――。
「神奈川県産業技術センター」(海老名市下今泉)の企画部 戦略的デザイン室が中心となり、小田原箱根木製品を世界に通用するブランドとして確立することを目指し、商品企画の段階から製品化・販路開拓まで、戦略的に商品開発の支援を行うプロジェクトがスタートした。

 喜多さんを講師に招いた勉強会では、「世界に通用する商品をつくること」をコンセプトに、「雑木囃子」のメンバー各自が3ヵ月に1回新作を発表するという課題が出された。スケッチや試作品を提出し、喜多さんから具体的なアドバイスをもらい、デザインを何度も練り上げた。

 メンバーの一人、太田憲さん(32)が、長女のために考案した「寄木ボタン」は、発売当初はなかなか売れずに悩んでいたが、喜多さんの勉強会で「ボタンを丸みのある形にすること。サイズ展開を7種類にし、色合いや模様も変えて種類を増やして、選ぶ楽しさを広げてあげるといい」とのアドバイスを受けて改良したことで、その後ヒット商品になったそうだ。

「雑木囃子」のメンバー太田憲さんのヒット商品「寄木ボタン」

「日々の仕事と両立しながら短い期間内に新作を作り続けることは大変だったが、デザインアイデアを出す能力が鍛えられて、充実した2年間だった」と、「雑木囃子」代表の露木さんは当時を振り返る。

 箱根寄木細工の若手職人を牽引し、将来性のある新鋭として頭角を現している露木さんは、子どもの頃から手先が器用で、自然に家業である寄木細工の仕事を継ぐ道を選んだという。

 地元の高校を卒業後は、日本の伝統工芸発祥の地である京都で、現役の職人から指導を受けられる「京都伝統工芸専門学校」に進学。

 4年間、釘などの接合道具を使わずに木と木を組み合わせる「京指物(きょうさしもの)」の技術を磨き、箱や入れ物などの調度品を作る伝統工芸の基礎を身に付けた。

 2002年、家業である「株式会社露木木工所」(小田原市早川2)に入社。箱根寄木細工の世界へと足を踏み入れた。現在は3代目の父 清勝さん(57)と共に寄木細工の職人として働き9年になる。

 代表作として、2010年に第6回全国「木のクラフトコンペ」で金賞を受賞した『寄木サイドテーブル』、2011年に第50回「日本クラフト展」で読売新聞社賞を受賞した皿『えん』などがある。太い木を大胆に組み合わせたモダンな印象の寄木細工を得意とし、新たな境地を開拓している。

2011年に第50回「日本クラフト展」に出品し、読売新聞社賞を受賞した代表作の皿『えん』を手に持つ露木清高さん。人と人との縁(えん)が深まるようにとの思いが込められている。「ツユキギャラリー」=小田原市早川=で撮影

 最後に、露木さんの目から見た寄木細工の可能性と、今後の目標を聞いた。

「スペインにも寄木細工があり、ヨーロッパには木を寄せて絵を作る木象嵌(ぞうがん)がある…色や材質の異なる種類の木を寄せて『美しい』と思う感性は世界共通。日本の箱根寄木細工が世界ブランドとして、広く受け入れられる可能性があると強く感じている」と、露木さん。

「雑木囃子」の今後の目標としては、「メンバーそれぞれが一人前の職人を目指しながら、6人6様の個性を発揮し、新しい技術に挑戦して成長していきたい」と話す。

 定期的に展覧会を行うことで、「寄木細工に携わる若い職人がいることを多くの人に知ってもらい、産地である小田原・箱根エリアに足を運んでもらいたい」との意図があるそうだ。

「自分の作品について、一般の人から直接意見や感想を聞けることが励みになっている。メンバーそれぞれに固定のファンが付いてきているものうれしい」と、露木さんは語った。

露木さんは、小田原・箱根から世界に発信していく雑木囃子の活動について、11月5日、神奈川県小田原合同庁舎(神奈川県小田原市荻窪350)で行われる西湘エリアの「黒岩祐治知事との“対話の広場”(地域版)」に登壇する。若い感性をいかしたものづくりの取り組み事例は、他地域で創作に励む人たちにも参考になるメッセージとなりそうだ。

▽リンク
雑木囃子サイト
http://www.zoukibayashi.jp/

▽ギャラリーツユキ<露木木工所>ホームページ
http://www.yosegi-g.com/

▽黒岩知事との“対話の広場”(地域版)/神奈川県ホームページ
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f300633/p368486.html

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