お母さんも夢中になって遊んでほしい-音楽家の中ムラサトコさんが親子で楽しめるワークショップを開催/横浜市


7月26日、岩崎博物館(横浜市中区山手町)のゲーテ座ホールで、親子で楽しめるお面づくりワークショップが行われた。企画と司会進行を務めたのは、音楽家の中ムラサトコさん(39)=横浜市中区=。中ムラさんは、8月中旬に第4子の出産を予定しているため、産休前の最後のワークショップとなった。

このワークショップは、子どもを産み、育てることはアート(芸術活動)であり、子どもと一緒に自分自身をより豊かに成長させる絶好の機会だという中ムラさんの思いから生まれたもので、「子育ては爆発だ!!」というタイトルが付けられ、未就学児と保護者を対象に、2008年から通算31回のワークショップが行われている。

ダンサーなど毎回さまざまなアーティストを講師に招いて、新しい視点で子どもたちを見つめ、観察し、子どもの中にある表現の可能性や、体の中にある生き生きとしたエネルギーを、音楽やパフォーマンスを通じて親子で発見することを目的としている。

14歳、8歳、4歳の3人のお子さんの母でもある中ムラサトコさん。8月中旬には第4子を出産予定。子育ての先輩からは、3人目までは大変だけれど、4人目から子育てがすごく楽しくなると言われ、今から楽しみにしているのだそう。(岩崎博物館にて撮影)

今回のワークショップは夏休みの特別企画として、名古屋でカフェ「Jaaja(ジャージャ)」=名古屋市千種区覚王山通9=を経営しながら絵や音楽、手作り雑貨制作などで個展、演奏会を全国で行っている物作り楽団の「Jaaja」さんをゲストに迎えて、お面づくりが行われた。
当日は35人の子どもたちと保護者が参加。会場のゲーテ座ホールの床一面にはビニールシートが敷かれ、段ボールやボール紙、紙袋などのお面のベースになるものや、色、柄の違う布切れや風船、リボン、ボタン、羽、といった装飾素材や筆記用具などが山積みに並べられた。その中から、素材を自由に組み合わせて接着していくのだが、保護者が子どもよりも夢中になって制作していたのが印象的だ。

「ワークショップは、親自身が思わず参加したくなるようなプログラムであることを大切にしています。子どもは親が楽しんでいる姿を見ると、とても喜びますから」と話す中ムラさん。1時間かけてお面を作り上げた後、できたばかりのお面をかぶってJaajaさんによるギター、トランペット、アコーディオン、タンバリンなどの打楽器を使った演奏と中ムラさんの太鼓のリズムに合わせて、親子で岩崎博物館前を列になって大行進。お祭りのようなにぎやかなパレードとなった。

このワークショップは、中ムラさん自身が3人目の子どもを出産したばかりの子育て真っ最中の2008年頃に始まった。それまで0歳~3歳児が参加できるような五感で楽しめるようなワークショップがなかったため、それならば自分たちで始めようと岩崎博物館で子ども向けのワークショップを企画していた課長補佐の小池成樹(まさき)さんと意気投合したという。

お面づくりワークショップ風景。自分の好きな素材を自由に組み合わせることで、世界にひとつだけのユニークなお面が完成した。

もともと子ども好きというよりは、大人も楽しめる絵本の世界に興味があったという中ムラさん。18歳で上京し、劇団「Can青芸」に入団。2002年に2・3歳児向けの芝居『ぐるぐる』に出演したことをきっかけに、子どもと関わるワークショップの仕事が増えていったという。また、ノルウェーなどの海外公演を経験し、一流のクリエイターが集結して研究を重ねて子ども向けに上質な演劇プログラムを作っていることに感銘を受け、理屈ではなく五感を使って楽しめるようなものづくりをしたいと思ったそうだ。

「子育ては爆発だ!!」をはじめとする未就学児向けのワークショップを振り返って 感慨深かったのは、石川町でこども造形教室を開いているドゥイさんと試行錯誤しながら進めてきたワークショップだという。「回を重ねるごとにプログラムの流れが洗練されて、完成したなという実感がありました。参加してくれた親子が自主的に遊びを創意工夫していくようになり、ワークショップで学んだ遊びを家でも夢中になってやっていたと話してくれます」と確かな手応えをつかんでいるようだ。

演奏に合わせてお面をかぶった親子が大行進

今後の未就学児と保護者を対象としたワークショップの開催予定は、産休明けの10月26日に横浜市民ギャラリーあざみ野3Fアトリエ(横浜市青葉区あざみ野南1)で行われる「おばけはどこいった?ひかりとかげであそぼう」。(下記サイトで申し込み受付中)。そして、岩崎美術館のゲーテ座ホールで隔月に行われている「子育ては爆発だ!!」のワークショップは2011年1月に復帰予定となっている。(日程は決まり次第中ムラさんのオフィシャルホームページで発表)

1999年、陶太鼓の製作をきっかけに「叩き歌い」を始め、ジャンルを問わず多くのアーティストとコラボレーションし、歌のライブも月10本ペースで精力的に行っている中ムラさん。「子どもを産んで自由な時間は少なくなったけれど、その分感性が研ぎ澄まされて、何がやりたいか明確になった。
若い頃はコンプレックスだらけだった自分のことが、前よりもっと好きになりました」と笑顔で話す中ムラさん。一人の女性として母親として、表現することを心から楽しみ、力強く生き生きと歌う姿は、多くの女性の共感を得ている。今後も音楽活動、子育てワークショップ、そして「思いつきスープcafe Anarchy mama」スタッフの仕事を3本柱に、子育てと両立していきたいと語った。スープカフェは、産休中のため寿町の1号店はしばらく休業し、岩崎美術館内の2号店のみの営業となる。第4子の出産を経て、中ムラさんの表現がどのように変化し、深みを増していくのか、今後の活躍が楽しみだ。

▽リンク
中ムラサトコのオフィシャルサイト
http://www.nakamurasatoko.com/zhongmurasatoko/home.html

岩崎博物館 (ゲーテ座記念) 横浜山手のファッションとアートのミュージアムサイト
http://www.iwasaki.ac.jp/museum/index.html

子どものためのプログラム « 横浜市民ギャラリーあざみ野サイト(中ムラサトコさんワークショップ申し込み受付中)
http://artazamino.jp/organized-events/art-program-for-children/

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【動画】手作りお面をかぶった親子が大行進♪ 中ムラサトコ さんの子育てアートプロジェクト「子育ては爆発だぁ!!夏休みスペシャル」-横浜市中区
http://kanamag.net/archives/9406

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